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風つよいとかだしー。

b0064495_023246.jpg雨がスコールみたいに降ったせいで。
黄砂で、車すんごい事になってる。
のを、昨日きがついてなんか『あーー』って気分です。
火曜日も、雨らしい。逆に洗ってくれる効果あればいいけど。
黄砂...だし。無理か。苦笑。ですにゃ!
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by yoseatumejin | 2010-03-23 00:22 | よせ日常。

隣合せ。


題「隣合せ。」


『だいっ嫌い!!!』

『大っーーー嫌い!!!!っ...!!』

『だぁああい、嫌いーーっ!』


もう、大嫌いになった!
だからもう、絶対絶対、口なんてきかないっ。
遊んだりなんて、しないんだから!!!



と、そう言ったことだけは記憶している。
もう、昔の記憶だ。
だから、全てが曖昧で、自分がどうしてそう言ったのかなんて、全く覚えていない。
なんで、こんなに過去の自分が怒っていたのかも記憶していない。
ただ。
私は、自分がそう言った相手の顔と名前は今でも覚えている。

忘れられない。

同級生の、高山修次(タカヤマ シュウジ)だ。
高山修次は、あの時。すごく、驚いたような顔をしていた。
すごく、驚いた顔をしていたのに、何処か今思い返してみると受け入れているような目をしていた。
私があんなに怒っていたのに。
高山修次は、驚いたままの顔で、学校の運動場ののぼり棒の側に突っ立っていた。
言い返しもしないで。

私の記憶は、そこで止まっている。
今も、高山修次はのぼり棒の側に突っ立っている気がする。

(あののぼり棒は、たしか緑色だったな)


私は、自分の記憶をとりあえず....とりあえず、冷静に引っ張り出しながら、最期はどうでもよさそうな事に意識を結びつけてみた。
そうだ。
あののぼり棒は、途中で色が塗り替えられたのだったわ。小学四年生だったと思う。
夏休み中に、塗り替えられてオレンジ色から緑色に変わったのだ。
私は、ちょうど学校へ友達と遊びに行っていて、塗装業者の人が二人のぼり棒の周りに足場を組んで塗り替えているのを見ていた。
明るいオレンジ色から、緑色になってしまって、ちょっとイマイチだって友達と文句を言っていた記憶もある。
だから、夏休みが終わってから、緑色になったのぼり棒の塗りなおされたばかりの綺麗な、けれど厚みが少しだけ増えたせいでもったりとした塗装を、爪でこっそり削ってみたりした。
でも、爪で削ってみるくらいでは、元のオレンジ色が顔を出す事はなかったけれど。

(今なら、もう見えるかも。それとも、また別の色に塗り替えられたんだろうか?)


分からないな。
と、とりあえず思考を進めながら、黒板の前に立つ新しい担任の自己紹介をまじめに聞いているふりをした。
先生は、去年までいた学校では写真部の顧問だったとか。
写真部がこの学校にもあって嬉しいとか。
まぁ、そういう事を言っている。

言っている。
私はそれを、とっても真面目な顔をして、まっすぐ見ている。

そんな私の、隣の席に。
忘れもしない。
高山修次が座っているからだ。

すぐに、この同じクラスで隣の席になった男子が、高山修次だと。
私には、分かった。
分かった瞬間。
横なんて、向けるはずがなかった。

(はずが、ないじゃないか!)

理由がどうであったかは、さっぱり全く何も!覚えてなんかない。
が。
私の記憶で、あんな事がある前まで私と高山修次の関係は、なかなか気さくにしゃべれるクラスメイトという良好なものだったと覚えているのだ。
が、あの記憶以降。
私が、一切、高山修次と関わった覚えはなかった。
徹底的に、忘れ去ってしまっている理由が理由で、私は自分の生活圏から高山修次を排除してしまったのである。
きっと、今、こんなにもその後の高山修次を覚えてないのだから、私の排除行動は完璧であったに違いない。
もう二度と、関わらないという関係を絶対としていたはずだ。

(だ、のに!)

(だのに、何故!?)

同じクラスメイトになってしまっただけでもイタイ所にもって来て。
隣の席なんて!
しかも、新学期。
新学期の、席替えはなかなか発生しないのだ。
だって、先生もクラスメイト達も配置と名前を一致させていかねばならぬのだからね!
そうそう変えていては、混乱するのだ。

(つまりはだ。二ヶ月はこのままだ)

下手をすれば、一学期中なんて事もある。

(一学期か...)

とりあえず。人間、一番近場から仲良しの輪を広げようとするものだ。
女子同士の方が早くなりやすいが、とりあえず嫌なやつだと判断しなければ男子だって隣から声をかけるのが定石。

(あ、そうか!嫌なやつであれば、良いのか!)

と、一瞬。
私は安堵してみたりした。
が、明らかに。私は、もう高山修次に何の嫌悪も抱いていないのだ。
曖昧な記憶を思い出すたびに、どちらかと言えば私が彼を傷付けたのだという気持ちの方が年々強くなっていたりもするのだ。
なんとも理不尽だったのではないかと。
あれほど嫌った理由を覚えていない今、負い目の方が強い。

いや。
もっと言えば、私は彼を自分の生活圏から排除した後から、彼に対する態度を後悔していた。
あんな態度を取ってしまった、と。
だから、その後私が彼と全くかかわり合わないで居たのは、後ろめたさからだった。
謝るタイミングも、何に対して謝れば良いのかも分からないままで、私は高山修次から逃げ出していたのである。
中学が、分かれた時には、そんな訳で安堵したものだ。

(そして、高校が同じと知って衝撃を受けたものだ)


去年、一年間。
完璧に、私は高山修次と無縁である事に努力をついやした。
高山修次とクラスが遠かったので、それほどの縁が起きることはなかったけれど。
姿を見つけないように。廊下ですれ違う回数も、やむしかたない時以外発生させないように。

なんて無意味な努力!

そう思ったけれど、仕方ない。私の良心が、そうでもしていないとチクチク痛んでしまって仕方なかったのだから。


(だのに、だ!)

だのに。
隣の席とは、どういう事だ.......。
確かに。
同じクラスになった小学生時代の経験からいっても、こういう事態がおき得る可能性は予測できはしたのだけれど。

(神様め.....)

高山と、田島って。似て非なる名前ではありませんか?
字面で見たら、接点が低いのではありませんか?
なんで、あいうえお順に世間は名前を並べたがるのか。
ひらがなめ!
平易な表現をしやがって!
うらむ。うらんでやる。

(うぅ.....)

ここでまた、高山修次を邪険になんて、出来ないじゃないか。
そんな、私の良心が痛むことは、もうしたくないじゃないか。
でも、一からまるで他人みたいになんて出来ないじゃないか。
小学校一緒なんだよ。まるまる他人作戦は無理に決まってる。
高山修次から、『お前、田島(タジマ)だろ?』と言われて....私は、『うん、そうだよ!久しぶり!』とでも言うのか???

(言えるかーーー!!)

言えるわっきゃねぇよ!
言えません。
言えるはずがありません!

すみません!
田島由香(タジマ ユカ)は、そんな強い人間違います!
弱い人間なんです。愚か者なんです!

(しかも。自己紹介が、回ってきてる!)

姓名を、正しく言って、一日でも早くクラスメイトと仲良くなるための第一歩。
人と人とが出会うとき。
それは、ご挨拶のとき。
あぁ、人間対人間の交流の基礎よ!
ここでウケたら案外この一年、楽しくやれちゃうかもよ!なイベントよ!
でも、ここで偽名を使うやつなんて居ない!
今まで由香ちゃんも、見たことない!うん。
たまに、おバカな奴が有名人の名前を名乗ったとしても、その後で、ちゃんと自分の名前を言うものだ。
あとは、愛称を自ら『けんちゃんデス』みたいに言ってみてしまうくらいだ。
でも、それはウケを狙うという行為であり、完全に誤魔化したいなどには通用しない。

「はい、次。高山修次」

新担任の声が、高山修次を指名する。
私は思わず、隣で立ち上がった高山修次の顔を見上げたくなった。
が、あわててチラッと顔を見ない角度でそちらを向きましたよアピール位の首の動きをしただけで抑えた。

「あー...吹奏楽部に入ってる高山です。一応、副部長やってます。一年、よろしくお願いします」

高山修次は、しごくまっとうな挨拶を終えると、まっとうに着席した。
あぁ。
この挨拶からして、高山修次は大変普通の人であり、過去とはいえ私があんなに毛嫌いするかの如く排除しなければならない対象なのではなかったろうにと、思う。

(悪いことをした。悪いことをした)

完璧、時効じみてるせいで蒸し返せない所が、本当に心苦しい。
吹奏楽部で、副部長だ。
きっと、なかなか人望もあついのに違いない。

「はい。次は、田島由香」

新担任は、名簿を見ながらそう言うと、私ににっこりと視線を合わせた。
くっ。
忘れて飛ばして下さればよかったのに!
そんな人のよさそうな顔をされたら、逆恨みし難い....。

「た、田島由香ですっ!ぶ、部活は入ってません.....っ。よ、よろしくお願いしましゅ...!」

か、噛んだ。
完全に、どもり。最期は、噛んだ!
あまりにも高山修次対応策を考えていたせいで、何もコメントを考えてなかったからとはいえ、挨拶すら噛むとは!!
あまりにも、はずかしい。
はずかしすぎて、高山修次を見れないからじゃなく、私は下を向くことしか出来なかった。

................。
それからの、自己紹介は全く記憶にない。
いや。それ以前も、あまり記憶にないのだが....。

(結局、高山修次の自己紹介しかまともに覚えてない.....)

第一。
高山修次が、吹奏楽部で副部長という事も、すでに承知のことだったし。
これでは、明日からが思いやられる。
いや、今からだって思いやられる。

(とりあえず。今日は、帰ろう....。明日から、一年間か....。長いな)

私は、バラバラと帰り出し、また部活へと出て行く新しいクラスメイト達と同じ様に席を立った。
少し違うところは、立ち上がる瞬間に大きな溜息をこぼした事だろう。

そして、私が立ち上がった時。
隣の高山修次も、立ち上がった気配がした。
もちろん、振り向くはずもない。
振り向けるはずもない。

どうせ、高山修次は部活なのだ。
帰宅部な自分とは、廊下から先、行き先が一緒になることはないのだ。

(安心だ。このまま、サクサク軽快に廊下を過ぎて階段を降り昇降口へ、だ!)

私は、帰るのだ。
帰宅するのだ。
帰宅部なのだ。

「なぁ。田島」

(..................)

だ、駄目だったか。
覚悟を、決めないとか。
この声は、明らかなり!高山修次!

「な、何?」

「お前、かばん持って帰んないの?」

「.........う、あー........」

かばん。か。
そうだよね。かばんね。
持って帰らないと、定期も財布もないよね。
くぅ......。
高山修次。なんで、そう、普通に良い人なんだ。
私が過去、君にした行為を忘れているのか?

「ありがとう、高山くん」

「田島」

「はい」

「かばんは、別に良いんだけどよ。田島」

「はい」

「田島由香だよな」

「.........」

(黙秘拳!)

って、それは無理か。
その、『田島由香だよな』は、今日同じクラスになった『田島由香だよな』ですか?
それとも、過去同じクラスになったことのある『田島由香だよな』ですか?

(って、明らかに。後者だよ)

「俺、ずっと田島に謝りたかったんだけど」

「は?」

謝るのはこっちだろ?
明らかに、あの日を境に、険悪な態度だった覚えはあるのだ。
理由は、不明だが。

高山は、持っていたかばんを私に渡すと、当たり前みたいに隣を歩き出した。

「........高山くん?」

「田島、帰るんだろ?今日は俺も部活ないし」

「........」

「バス、混むだろ?俺、自転車だから後ろで良かったら乗せてやるけど」

「..........はい」

こ、これはどういう展開か?
河原とかに連れて行かれて、殴り合いの喧嘩とかする気か?
断りたい気も、すっごくするが、私はうんと頷いていた。
負い目があるせいで、だろうか?
それとも、あまりの急展開だからだろうか?
一年を考えるより、まず今日という一日に目を向けるべきだった。

(.........)

(.........)

高山修次は、停めていた自転車を学校から少し離れるまで押して歩いてから、

「とりあえず、二人乗り禁止だしね」

と、学校が見えなくなった所で私を後ろにのせて漕ぎ出した。

「........」

「田島。もう少し、ちゃんと掴まっててくれるか?落ちそう」

「ご、ごめん.....なさい」

(.........。これは、何?)

この展開について、誰か説明をお願いします!
私は、完全に思考が停止しています。
高山修次よ、とりあえず答えをくれ!!!
謝らなきゃいけないとは、何故?
それと、この自転車二人乗りに関係はあるのか?
私は、一体全体、過去になにを。

自転車が、軽快に走っている。
自分で漕ぐときには感じられない、視界を景色が流れる世界。
春の、日差しの、なんかあったかい感じと。
高山修次の、背中の、なんかあったかい感じと。

(なんだ、これは。...........幸せ?)

ずっと、走って欲しいような。
何処までも、行ってって言いたいような。

と、思った途端。
高山修次は、唐突に自転車を停止させた。

「きゃ!」

などと、思わず可愛い感じの悲鳴が、勝手に出てしまって。
これが、たまらなくはずかしかった。
が、高山修次は、

「あ、悪ぃ」

と言っただけだった。

高山修次が自転車を止めたのは、私達の小学校が見下ろせる高台の道だった。

「ここ.....。え、何が?......ここ、何か?小学校見えるけど....」

もう、何を聞きたいのか分からず私はとりあえず、ただ口に出来る言葉を口にしていた。
高山修次はそんな私を見た後で、急に今までの強引な雰囲気をひっこめると、

「田島。あの時さ、本当ごめん」

「えっ....と、それ...どうして高山くんが謝るの、かが...ちょっと、分かんないんだけど......。というか、確実に、私が高山くんに謝るべきなんじゃ.....」

「え?何で?田島が、俺に?」

「や、だって。なんか、すごい嫌い嫌い連呼してた記憶が......」

「そりゃ.....そうだと思うし」

「........そうだと、思う?私が、嫌いって言ってたのが?」

「そりゃ。って.....田島、覚えてない?」

「なに、を?」

「あの時。俺が、嫌がってる田島に、虫を無理やり見せようとしたから、田島がそれで怒ってさ。だから......じゃん?」

「えっと、虫?」

「正確には、昆虫。カマキリとか、バッタとか。俺、あの頃は昆虫好きでさ。籠一杯とって来たやつを、自慢したくて無理やり田島に見せようとして、田島が怒ったんじゃん。俺、あんなにずっと嫌われるとか思ってなくてさ........。謝る機会も、もらえなかったし....さ。タイミングなくてさ、ずっと悪かったなって思ってたんだけど。だから、今日、隣になってさ、田島から完全無視とかされる前にさっさと謝っとけって!」

「昆虫......」

「あの時は、本当ごめんな。田島!」

「...そうだったのか。....」

「田島。許して、くれる?」

「うん」

「ありがとな!」

高山修次は、晴れ晴れした!という顔でニコリと笑った。
何だ、これは。
これは、一体なんなんだ。
というか。

(そうだよ。小学生なんだもん........)

嫌いって言っても、壮大な理由じゃない可能性だってあったのだ。
って事は、私はもう何年と、原因さえ覚えていれば苛まれることのなかった後悔をして来たという事か!
あぁ!なんてことだろう。
馬鹿馬鹿しい。
かなり、馬鹿馬鹿しい。

そりゃあ、大量な虫を無理やり見せられれば怒るだろう。
大嫌いだと、騒ぐくらいするだろう。
高山修次が、怒ることもないのも当然だ。

(だって、悪いのは高山修次じゃん!!!)


「あはっ....あはははははははっ!!」


笑っちゃう。
笑っちゃうしかないじゃないか!
笑えちゃうよ!

私はおかしくておかしくて、気が付けば高山修次の腕をバシバシ叩いて笑って笑って笑った。
高山修次は、私にバシバシ叩かれて、あの記憶と同じような困った目をしながらも、同じ様に笑っていた。

そして、

「隣同士、これからよろしくな!」


なんて言っちゃって。
やっぱり良い奴らしいのな、高山修次!!


                                 終
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by yoseatumejin | 2010-03-10 00:38 | 短文/(計19こ)